治療例
インプラント矯正(上下顎前突)
矯正用に開発されたインプラントをアンカーとして使用した治療例です。 従来であればヘッドギアーなどを固定源としてきましたが、インプラントは安定した力で歯をけん引できるため、確実に歯を動かすことができます。
治療前は口元の突出感や緊張感がありましたが、治療後はお口が閉じやすくなり、また横顔のバランスが良くなりました。 これはインプラントをアンカーに、前方に傾斜した上下顎前歯を十分後退させられたためです。 このようにインプラントは、従来はヘッドギアーなどの患者さまの協力が不可欠でしたが、それがなくても良好な結果が得られます。 ただし成人の方(18歳以上)しかできませんので、それ以下の方は従来通りのヘッドギアーが必要になる場合があります。
上顎前突(出っ歯)
上の前歯が前に出た状態(上顎前突)です。また下顎前歯部には、でこぼこ(叢生)があります。
上の歯が出ているため、横顔は上唇の突出した感じがあります。 上顎は、前方に傾斜した前歯を後退させるため、左右第一小臼歯(前から4番めの歯)を抜歯、下顎はでこぼこを解消し、奥歯の前後的なズレを解消するために、左右第二小臼歯(5番めの歯)を抜歯して矯正治療を行いました。
上の前歯の出た状態やでこぼこは改善しました。口元がすっきりしたと思いませんか? 確かに虫歯でもない健康な歯を抜歯するというデメリットはありますが、抜歯して矯正治療を行うことにより、歯並びを整えたり、上下口唇のバランスを改善することができます。
舌側矯正治療
歯の裏側からの矯正治療、いわゆる舌側矯正治療の症例についてです。
【治療前】写真はいわゆる叢生(乱ぐい歯)という状態です。これは土台が小さく、並んでいる歯が大きいためこのような状態になります。
【治療中】上下左右第一小臼歯(4番目の歯)を抜歯して、矯正治療を開始しました。上顎は裏側から、下顎は表側から治療を行っています(ハーフリンガル)。 下顎の裏側に装置を付けると、舌が装置に引っかかって非常にしゃべりずらくなり、また強い違和感もあります。 そこで当院では、ハーフリンガルでの治療をお勧めしています。 上顎は裏側から治療することにより、しゃべったり笑ったりするときには全く見えません。 下顎は表側から治療することにより、しゃべりにはほとんど影響が出ません。
【治療後】叢生は改善し、よい状態になりました。 なお当院では、では歯につける装置(ブラケット)を以前より小さいもので治療しています(New STb)。
叢生
叢生(そうせい、乱杭歯)についてです。 写真のように、あちこちにでこぼこが見られる状態をいいます。 なぜこうなるかというと、歯を並べる土台の顎が小さく、並んでいる歯が大きいためです。10人がけのイスに12人が無理に座っている状態です。 ちなみに現代人は昔の人に比べ、顎も小さくなっているようですが、歯が大きくなっているようです。 ですから昔の人に比べ、叢生は多くなっているといえるでしょう。
【治療前】この小さな顎の中に、全ての歯を並べることは不可能なので、この症例の場合には上下左右第一小臼歯(前から4番めの歯)を抜歯して、矯正治療を行いました。
【治療後】治療後の安定は良いようです。 このように、抜歯したほうが安定する場合には、抜歯が必要になります。 でこぼこの程度が軽度の場合には、抜歯しないで治療することもあります。
マウスピース
マウスピース矯正には、アソアライナー(旧クリアアライナー)、インビザライン、アクアシステム、ストレートライン、エシックスなどがあります。 どれも微妙な違いがありますが、いずれも透明なプラスティックのマウスピースを使用して、歯を動かしていきます。 当医院ではアソアライナーを採用しています。 このマウスピース矯正で、どんな状態でも治療できるというわけではありません。詳細は当院のホームページをご覧ください。 http://koike-kyousei.com/chiryo.html?id=mouthpiece
上の前歯の真ん中にすき間がありました(正中離開)。治療後はそのすき間は閉じています。すき間を閉じたり、わずかな歯のねじれなどを治すには良い治療方法です。
外科的矯正治療(反対咬合)
手術を併用した矯正治療(外科的矯正治療)の症例です。
上下の顎の前後差が大きい状態(骨格性上顎前突、骨格性下顎前突)や、上下の顎が大きく開いた状態(骨格性開咬)や、お顔が大きく非対称な状態(骨格性顎偏位症)などの場合は、手術を併用した矯正治療(外科的矯正治療)を行います。
まずタイムスケジュールからお話ししましょう。
術前矯正治療:手術時にちゃんと咬めるように、あらかじめ矯正治療が必要になります(1年半~2年半) |
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手術:信頼できる口腔外科のある病院で手術を行います(全身麻酔 入院は2週間ほど) |
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術後矯正治療:術後6カ月くらいは装置装着のまま、治療後の安定を見ます。 |
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保定矯正治療:通常の矯正と同じように、取り外し可能なプレートにて約2年間定期観察します。 次に治療費についてです。 治療費に関しては、矯正治療費、入院・手術費などすべて保険が適用されます。 |
治療前は、奥歯でしか咬んでなく、骨格的には上顎がかなり小さく、下顎がかなり大きい、いわゆる骨格性下顎前突です。横顔も下顎が出た感じがあります。
治療後は、上下口唇のバランスが良くなりました。
次に治療前後の横顔のレントゲンの重ね合わせです。
実線が治療前、点線が治療後です。
手術にて上顎は前方へ、下顎は後方へ移動しています。これだけ横顔が変わります。
最近では、テレビなどで美容整形が取り上げられることが多いですが、美容整形と決定的に違うのは、歯医者が行う治療ですから、咬合(咬み合わせ)の機能回復をきちんと行うことができるということです。
反対咬合
前歯がいわゆる反対の状態の症例です。反対咬合の治し方としては、上顎の前歯を前方に傾斜させて治療する方法、下顎前歯を後方に傾斜させて治療する方法、上下顎前歯とも後退させて治療する方法があります。どの方法を選択するかは、その方がどのような要因(歯あるいは骨格)で反対咬合になっているかにより異なります。 この症例は、歯を抜歯せず、上顎前歯を前方に傾斜させて反対咬合、また上顎前歯部のでこぼこを改善した症例です。 反対咬合、叢生(でこぼこ)は改善し、良い状態になりました。
開咬
開咬とは、写真のように奥歯は咬んでいても、前歯は開いた状態をいいます。 原因としては、小さい頃に指しゃぶりがあったりすると、前歯が開いているので、いつまでもそのすき間に舌が出て来る飲み込み方(幼児型嚥下)のままになります。 そのため年齢とともに指しゃぶりが止まっても、代わりに舌が出てくるので、前歯は閉じてきません。 このような場合、まずは舌を前に出さない正しい飲み込み方(成人型嚥下)ができるようなトレーニングを行います。 それと同時に、舌が出にくい環境にするため、矯正治療により前歯を閉じていきます。
【治療後】正しい飲み込み方、すなわち舌を前に出さない飲み込み方ができるようになりました。 また開咬が改善し、発音や咀嚼(食べ物を噛み砕く)などの機能の改善もなされました。